「警察署の電話番号から電話が来たから本物だと思った」
実はこの考え方は、いま非常に危険です。
なぜなら現在の電話システムでは、発信者の電話番号は偽装することが可能だからです。
最近も、大阪で警察官を名乗る特殊詐欺が発生し、被害者は一度警察に相談していたにもかかわらず、警察署の番号からかかってきた電話を信じてしまい、約4億4300万円相当の暗号資産をだまし取られる事件が起きました。
この事件のポイントは、詐欺グループが使った「番号偽装」という手口です。
この記事では、なぜ警察署の番号でも信用してはいけないのか、そして電話番号が偽装される仕組みを分かりやすく解説します。
電話番号は実は「自己申告データ」
スマートフォンに表示される電話番号は、実は完全に信頼できる情報ではありません。
電話の仕組みでは、発信者が通信ネットワークに「この番号から電話しています」という情報を送ります。すると受信側のスマートフォンは、その情報をそのまま表示します。
つまり極端に言うと、「警察署の番号から電話しています」という情報を送れば、警察署の番号として表示されるということです。
この仕組みを悪用したのが、番号偽装(Caller ID Spoofing)です。
電話番号が偽装される3つの方法
電話番号の偽装は、特別なハッキングではありません。通信の仕組みを利用することで行われます。
① IP電話(VoIP)の悪用
現在の電話の多くは、インターネット回線を使うIP電話(VoIP)です。
この仕組みでは、発信者番号を設定できるサービスもあり、悪用すると好きな番号を表示させることができます。
② 海外回線の経由
詐欺グループの多くは海外の通信回線を利用しています。
海外の回線から日本の通信網に接続すると、番号の確認が甘くなる場合があり、偽装が通ってしまうことがあります。
③ 企業用電話システムの悪用
企業で使われる電話システム(PBX)では、外線番号を設定できる仕組みがあります。
この機能を悪用すると、銀行・警察・行政機関などの番号を表示させることが可能になります。
「警察の番号だから安全」はもう通用しない
今回の事件では、被害者は一度詐欺を疑い、警察に相談していました。
しかしその後、警察署の電話番号で再び電話がかかってきたことで、「本物の警察からの電話だ」と信じてしまいました。
詐欺グループは、技術(番号偽装)と心理操作を組み合わせて信用させたのです。
警察が絶対にやらないこと
警察庁や各都道府県警も、特殊詐欺対策として次の点を強く注意しています。
警察が電話で以下のような指示をすることは絶対にありません。
- 資産を確認する
- 暗号資産を移動させる
- 口座を調査すると言う
- お金を振り込ませる
もしこのような話が出た場合は、100%詐欺と考えてよいと言われています。
電話番号偽装の詐欺から身を守る方法
最も確実な対策はシンプルです。
もし警察・銀行・役所を名乗る電話が来たら、必ず一度電話を切ること。
そして、自分で公式サイトの電話番号を調べて、かけ直すことです。
この方法を取れば、番号偽装の詐欺はほぼ確実に防ぐことができます。
これから増える「番号偽装詐欺」
電話番号の偽装は、現在世界中で問題になっています。
警察署の番号、銀行の番号、家族の番号など、こうした番号でも技術的には偽装が可能です。
そのため、「表示されている電話番号を信用する」という考え方は、すでに危険な時代になっています。
知らない番号だけでなく、知っている番号でも警戒すること。
これが、これからの特殊詐欺対策として重要になっています。